2013年07月29日
________中医学では300年前にすでに注目________
「人間の汗に含まれる物質を分析したところ、かゆみを引き起こす物質「ヒスタミン」が放出される際、カビの一種の「マラセチアグロボナーゼ」が作り出すたんぱく質が炎症にかかわっていたことが分かった。このカビは健康な人間の皮膚にも存在し、作り出されたタンパク質はごく微量でもアレルギー反応を引き起こす」と広島大学大学院の研究グループ(秀道広教授)による成果が発表されました。6月6日付 朝日新聞_____
汗をかくとカビが繁殖します。
確かに毎日多くのアトピーの人たちの相談を受けていますと、汗をかく梅雨時から夏悪化する人が多く見られます。
また場所もひじの内側やひざの裏、顎、わきの下などに多く発症します。中には学生や事務職の会社員で座る時間が長い人でお尻が真っ赤にかゆくなったり、と汗をかく場所に多くアトピーが発症しています。
面白いことに中医学ではアトピーのことを中国語で「四弯風(しわんふう)」と言います。
これは「四つの弯曲したところのかゆみ」という意味です。
すなわち両肘の内側と両膝の内側の4か所です。この「四弯風」は1665年に書かれた中医学の医学書「外科大成」にその名前が載っています。すでにアトピーの特徴が認識されていたというのは驚きです。
そしてアトピーのかゆみ、赤みなどの症状を軽くする生薬にカビなどの殺虫効果のある生薬が用いられています。苦参(くじん)は名前の通りとても苦く、飲んだり、外用に用います。生薬を煎じてその汁をかゆいところにかけます。抗真菌作用と抗トリコモナス作用が認められていますので女性の陰部のかゆみにもとても効果があります。外用に使う場合は副作用がありません。内服の場合は苦いので胃腸に気を付けます。白鮮皮(はくせんぴ)も抗真菌作用があり白癬菌を抑制します。
これらの生薬は「カビが原因」とニュースで発表されるずっと前から、中医学ではアトピーのかゆみによいと用いられてきました。そしてこれらの配合された漢方入浴剤もあります。汗によるかゆみや水虫にも、よく家じゅうで入れます。
例
男子の大学生でアトピーがあり、特にお尻がかゆい、と来店されました。真っ赤になって汁もでていて、電車の中や、授業中椅子に座っていてもかゆくてじっとしていられないとのことでした。
カビとあせのかゆみに効く漢方薬を飲んでいただきました。家でも試験勉強で座っていることが多いので、蒸れて治りにくいので、なるべく家では風通しのよいショートパンツですごしてもらうよう話しました。辛いものやお酒は体を熱くしますのでキムチやビールなど避けてもらいました。漢方薬の内服と漢方の入浴剤、漢方のかゆみ止めのスプレーを使い、時間がかかりましたがすっかりよくなり、喜ばれました。
文責 薬剤師 国際中医師 ウエマツ薬局 植松光子