漢方薬には煎じ薬とエキス剤があります。煎じ薬は多くの種類の生薬を混ぜて水で30分から1時間煮だすものです。一つの処方は分量が決まっていて、日本の薬局で使われているものは大体20gから27g位です。
先週中国 雲南省の雲南中医薬大学の皮膚科に研修に行って来ました。教授のとなりに座って患者さんを見て、皮膚と全身の診方と、どのように処方を導き出すかお教えいただきました。その時驚いたのは生薬の量の多さです。一日分がなんと300g平均なのです。内科ではその半分くらいですが、皮膚の場合はそのくらい使わないと効果が出ない、とのことでした。
また入院では保険がきくが、外来は100%自費だとのことで、この量では一か月の給料の三分の一くらいにはなるでしょう。それでも病院には患者が殺到しているのは良く効くから、ということでした。
ウエマツ薬局でもよく効くよう、いくつかの処方を組み合わせていますのでかなり量は多くなっていて驚かれます。一日量は60gから80gくらいですので金額も一日600円から1000円くらいになってしまいます。
早く良くしたい場合は上記の量でまず3か月くらい飲んで、その後良くなったら半分にして悪化しないよう気長に飲んでいきます。しかしそれでも無理なら半分の金額で食事を徹底的に直していけばよくなることもできます。
エキス剤は一箱の分量と金額は決まっています。早く良く効かすためにはたっぷり使ったほうが良いので何種類も組み合わせるとどうしても一日1000円くらいになってしまい、苦慮します。
エキス剤は簡単ですが割高で、煎じ薬は作るのが面倒ですが、効き目は早く、割安です。それぞれ生活に合わせて選んでいただければ、と思います。症状に合ったよい処方を考えると同時に、患者さんが困らないよう、安くて、効き目がよい方法を頭の中で一生懸命考えますので、一日終わると頭の中はいつも疲れてしまいます。