親子で国際中医師資格取得

埼玉県・川越市に「霞ヶ関店」「新河岸店」の2店を展開しているウエマツ薬局は、代表の植松親子が3人とも「国立北京中医薬大学日本分校(現在の日本校)」を卒業し、中国政府認定の漢方医国際試験である国際中医師資格にA級合格している。つまり、日本で唯一、国際中医師3人が相談を受けている漢方専門薬局なのだ。
父・植松捷之氏は国立北京中医薬大学日本校理事であり、国際中医師試験首位合格の実績を誇る中医学の権威。
得意分野は生活習慣病、ガン、男性疾患。
母・光子さんは国立北京中医薬大学日本校講師であり、女性初の国際中医師試験合格者。「東洋医学の名医134人」(実業之日本社)にも選ばれている。
得意分野はアトピー性皮膚炎、更年期障害、不妊症。特にアトピー問題に関しては第一人者で、今年7月に「諦めてはいけません!必ず改善します!アトピーは中医学と薬膳で治す」(二見書房)を出版したばかり。
今回取材を受けて頂いた娘の未来さんは、なんと国際中医師試験最年少合格者。不妊症・月経病といった婦人病と皮膚病を得意にしている。
もともと中医学の権威である両親を持った未来さんにとって漢方は生活の一部だったそうで、小さな時から医者に行ったことがないというエピソードもあるくらい。
しかし、学生時代は「いつか漠然と漢方をやるだろう」と思いながらも薬科大を卒業してからは薬剤師として日本大学医学部付属板橋病院薬剤部の救命救急病棟に勤めるなど西洋医学の世界で経験を積む。
そして、2000年に国際中医師資格を取得し、イスクラ薬局原宿店などを経て、2年前に両親の店・ウエマツ薬局「霞ヶ関店」を任されることになった。
女性スタッフならではの対応

今回取材した「霞ヶ関店」は未来さんが来てから店の雰囲気も随分変わったと10年来同店に勤めるスタッフも証言。
「漢方に対して親しみやすい、子供が怖がらないような雰囲気作り」を心掛け、アロマを炊いたり、BGMにヒーリングミュージックを流したりくつろげる空間を演出するなど明るい店作りを心掛けている。
店の片隅には赤ちゃんの写真がたくさん貼られていて思わず和んでしまうが、これは不妊症で悩んでいたお母さんたちから赤ちゃんが生まれたことを報告する感謝の手紙と一緒に送られてきたもので、実は女性によって深刻な悩みを克服したという成果でもあるのだ。
「婦人病はどうしても男性だと分からないこともあるだろうし、女性だから共感できる部分もある」と語る未来さんが信頼するスタッフもすべて女性。プライベートな部分まで踏込んだ話を聞き出す必要のある漢方相談だからこそ、こうした女性ならではの親身な対応が女性患者にとっての信頼となるのだろう。
ディスプレイは子供の目線で

小さな子供が気軽に近づけるようならば、その母親も抵抗なく入店することができるはずーーーとの考えから意識的にんういぐるみなど可愛いものを選んでいる。
ただし、ディスプレイのぬいぐるみを目指して小さな子供は一目散に駆け寄ってくるので、その度に自動ドアが開いてしまうという問題もあるのだが。
このように「霞ヶ関店」をすっかり婦人病に強い店として生まれ変わらせた未来さんにとって同じ道を行く現在の両親はどういった存在なのだろうか。
「優秀な先輩。だけどその優秀な先輩に気軽に相談ができてしまう」と笑いながら答えてくれた。確かに漢方をやっていく上でこんなに恵まれた環境はないのかもしれない。
(記事:飯田氏)